CO2削減や食糧安全保障に高まる昆虫食への期待

家畜の生産がCO2排出を増やしていると問題視される中、昆虫を料理に使う動きに注目が集まっている。

シェフのジョセフ・ユン氏は2017年にニューヨークで「ブルックリン・バグズ(ブルックリンの虫)」という団体を設立。2022年にはNASAの宇宙食チャレンジのアドバイザーも務め昆虫食の普及を目指す。彼の主張によると、肉を食べない日を週一回作るだけでCO2排出削減につながるという。実際、牛やブタの飼育により排出されるCO2量は、餌の生産や運送も考慮すると世界の総排出量の14.5%に上るが、昆虫の養殖ははるかに排出量が少ないという国連機関の報告もある。今後、昆虫を食用として大量に養殖できれば、世界の食糧問題や地球温暖化の解決策の一つとなる可能性がある。

 

年々高くなる平均気温、各地で甚大な被害をもたらす大雨、海面上昇により消えていく島々…地球に暮らす者にとってCO2削減を通じて温暖化対策に取り組むことは緊急の課題で、あらゆる可能性を試してみるべきだと頭では理解しています。しかし、うじゃうじゃした足にテカテカ光る体の昆虫を食べることには、どうしても抵抗が拭えません。とはいえ昨今普及している食材の中には、昆虫のようだと敬遠されていた蟹をはじめ、豚が掘り出し見つける土団子のような見た目のトリュフ、グロテスクな姿のクエなど、最初の1口に挑戦した人の勇気と好奇心に感謝感嘆せずにはいられないようなものも多くあります。今はありえないと敬遠されているような食材が、未来には多くの人が好きな食材に変わっているかもしれません。

フランスでは、ペットの餌に使われる昆虫の養殖会社に多額の資金援助が行われるなど、食用昆虫の業界が活気付いているようです。美食の国の人の手にかかれば、鳥肌が立ってしまうような昆虫たちも、震えるほどおいしい料理に変身するかもしれません。その時には喜んでCO2削減に貢献したいと思います。

 

とりあえず今は、地球を救う大きな解決策とまではいかなくても、新しい課題に気づく着眼点や誰もしてこなかったことに挑戦しようとする姿勢は私も日々の生活の中で取り入れていきたいと感じた記事でした。