独政府、ガスパイプライン会社を国営化 水素転換に布石

ドイツ政府は、国営エネルギー大手SEFEを通じ、自国の天然ガスパイプライン運営大手を国営化することを決めた。

SEFEが26日、ガスパイプラインを運営するヴィガの株式50.02%を買い取り、全額出資子会社にすると公表した。

欧州委員会による独占禁止法の審査をへて、24年夏までの国営化完了を目指す。

パイプラインを国営化しクリーンエネルギーである水素利用への転換を進める。

SEFEはセキュアリング・エナジー・フォー・ヨーロッパの略で、前身はロシア国営天然ガス大手ガスプロムの独子会社、ガスプロム・ゲルマニアだった。

ロシアのウクライナへの全面侵攻後、ガスプロムが独事業から撤退したため、独連邦ネットワーク庁が2022年4月以降、管理下に置き、同年11月に独政府が国営化していた。

ヴィガは独国内を中心に延べ4150キロメートルのガスパイプラインを運営する。

一部はドイツとロシアを結ぶ、ガスプロム保有の海底パイプライン「ノルドストリーム」と接続している。

22年9月の同ラインの爆破以降、ヴィガのパイプラインは他国から輸入する液化天然ガス(LNG)の陸揚げに使われている。

経済安全保障の観点から、ドイツ政府はエネルギー資産の国家管理を強化している。

SEFEだけでなく、ノルドストリームからの供給が絶たれ採算悪化に陥ったエネルギー大手ユニパーも国営化している。

今回の国営化には、クリーンエネルギーへの転換を進める狙いがある。

ドイツ政府は23年7月、3年ぶりに水素戦略を改定し、30年までに独国内で1800キロメートルの水素パイプラインを整備する計画を盛り込んだ。

この目標に向け、ヴィガが保有するガスパイプラインやガス貯蔵設備を、水素が利用できるように改修する。

新エネルギーの中で、水素エネルギーはもっとの要求条件が厳しく、転換が進められている造船業界でもまだ日本以外の国は、本格的な取り組みを強化していません。

それは船という限られた要領の中で、水素を運ぶための施設を増設してしまうと、輸送量が減ってしまったり、安全性の問題等の様々な要因が考えられます。

しかし、陸上輸送のパイプラインであれば、そういった施設の建設は容易で、ドイツはこれに先駆けて、昨年10月に、国家水素戦略も改定して2030年までに10GW(国内需要の50~70%)を生産、輸入する計画を立てています。

欧州や米国では、クリーンエネルギーとしてのEVに関しては、見直しや規制緩和が続いていますが、次世代燃料である水素に関しては、これから規制がされていく業界ですので、動向に注意し営業活動に活かしていくようにします。