「なぜ今、人工ダイヤモンドなのか?」 日米が900億円もの巨額投資をする“本当の狙い”
日米の関税合意に基づき、日本が約85兆円を米国へ投資する中、第1弾として人工ダイヤモンド製造を含む複数のプロジェクトが発表された。
人工ダイヤモンドは宝石のイメージが強いが、実際には工業用途で不可欠な素材であり、半導体や自動車、航空機など幅広い分野で活用されている。
人工的作る方法は、ダイヤが自然でできる環境を再現する「高温高圧法(HPHT)」や、
気体化した炭素を結晶に付着させる「CVD法」によって製造される。
HPHTは小粒ダイヤの大量生産に適し、主に研磨材として利用される。
一方、CVDは高純度で大粒のダイヤ生成に強みがあり、日本や米国が技術的優位性を持つ。
今回の投資では、米国ジョージア州に工業用人工ダイヤの製造拠点を設ける計画で、約900億円が投じられる。
背景には経済安全保障上の強い危機感がある。
現在、工業用ダイヤは中国が圧倒的シェアを握っており、製造工程もほぼ独占している。
さらに中国は輸出規制の動きを見せており、供給が止まれば建設や医療、製造業など社会基盤に深刻な影響が出る可能性がある。
しかし、今回採用されたのは中国が強みを持つHPHT方式であり、日米がこの分野でどこまで競争力を発揮できるかは不透明だ。
中国の長年にわたる生産体制を覆すのは容易ではなく、短期的には中国との関係維持も必要とされる。
このように人工ダイヤモンド投資は、短期的な供給リスクへの対応と、長期的な先端技術確保の両面を狙った戦略であり、日米の経済安全保障の象徴的な取り組みといえる。
今回の人工ダイヤへの投資は、関税への対応が目的ではありません。
中国への依存を減らし、国の安全を守る経済安全保障が本当の狙いです。
この考えは、バイデン政権でも大切にされてきたため、政権が変わっても続く可能性が高いでしょう。
ただ、日本にとっては、中国に頼らない体制づくりという良さがある一方で、
米国主導の動きの中で自国の強みが目立たなくなる心配もあります。
今後は、CVD技術を生かし、より価値の高い分野へ広げられるかが重要になりそうです。
