透明醤油のフンドーダイ、新商品は「泡」と「紙」
1869年創業の老舗調味料メーカー、フンドーダイ。
150年の節目となる2019年に無色透明の醤油を売り出して話題を呼んだ同社がこのたび約2年かけて開発したのは、泡状の醤油「Foam」と、シート状の醤油や味噌「Leaf」。
同社では透明醤油の発売後も液体以外の醤油の見せ方や使い方について社内で検討を重ねてあらゆるアイデアを試し、特許技術を持つ企業と組んで開発を進めてきた。
醤油を亜酸化窒素ガスで泡にした「Foam」はなめらかながら、射出後も約30分は崩れず形を保てるよう工夫。醤油専用の容器や小皿を用意する必要がなく、液体ではできない立体的な盛り付けも可能にした。
寒天に醤油や味噌を染み込ませ0.2ミリの厚さにシート化した「Leaf」は、固形のため他の食材と味が混ざらず、乗せたり巻いたり自在にアレンジできる。
開発の背景にあるのは、和食に限られがちだった使い道を広げた「和からの脱却」だ。
海外でも日本の「UMAMI(うま味)」の概念が浸透しつつあり、醤油や味噌などへの関心が高まっている。
デザートに取り入れるなど、日本人では思いつかない柔軟な発想から貴重な気づきをもらえることも多いという。
そうした経験から開発された「透明醤油」はもくろみ通り海外のシェフたちに西洋料理の隠し味として使われる機会が広がり、2025年1月時点での輸出は前年同時期と比べて5割増になっている。
熊本を拠点に全国展開していないフンドーダイは知名度も体力もありませんが、小回りが利くという利点を活かして大手が手を出さない分野に挑戦し、世界を驚かせる新商品を生み出しました。
弱みを強さに変えるために考え、挑み、海外での地位まで得た力強さに、会社の名前や規模のせいにして限界を決めてはいけないと教えられました。
また和食離れや人口減という、自分たちではどうにもできない理由で落ち込む国内消費に縛られるのではなく、自分たちの工夫や努力次第で可能性を広げられる海外へ飛び出した姿はとても主体的で前向きで共感します。
創業150年という歴史を誇りながら、その伝統にあぐらをかかず挑戦し実践し続ける…こういう会社が次の100年も残っていくのだと感じた記事でした。