米自動車スト拡大 新たに7000人、GMとフォード工場で

日本経済新聞より抜粋 2023年9月30日 4:51

米ゼネラル・モーターズ(GM)など「ビッグ3」に対しストライキを打っている全米自動車労組(UAW)は29日、再びストライキを拡大すると発表しました。GMとフォードの組み立て工場1カ所ずつで新たにストライキを始め、計7000人の組合員が加わります。今回の拡大で、ビッグ3で働くUAW組合員全体の2割弱にあたる2万5000人が参加することになります。UAWのフェイン会長は労使交渉が「すぐに解決しないことは分かっていた」と述べ、さらに長期化する可能性を示しました。

みなさんはストライキに対してどのようなイメージを持っていますか。過激で左翼的に感じるイメージでしょうか。国際的には様々な国でおこなわれているストライキ。なぜ日本は少ないのでしょうか。

みなさんもご存じの通り、日本の経済は30年ほぼ横ばい、実質的には賃金は低下しています。諸外国であれば、ストライキが多発しているはずですが、あまり目にしません。日本のストライキが異常なまでに少ないのは戦後、公務員のストライキが法律で禁止されたことも原因の一つとなっています。公務員で禁止されたことによって同調圧力に弱い日本人にはネガティブなイメージがすりこまれてしまったようです。それに加えて、国が安定した労使関係を国策として推進、つまり対抗するのではなく相互に協力するスタイルとなりました。実際に1970年代からストライキは激減し、安定した労使関係が増えました。関係が良いわけだから、日本の経済も安定し成長するはずです。しかし、現実はストライキや労働争議が減れば減るほど生産性は落ち、失われた30年の低迷期から抜け出せていないのです。1990年からの補助金や優遇制度による財政出動は1000兆円以上。借金を増やしても、経済は伸び悩み、実際にはこの状況ではストライキも憚られるでしょう。経済低迷の一つにもこのような理由があると知っておくことも重要だと感じました。