税収増でも25年度は赤字 財政基礎収支で内閣府試算

日本経済新聞 2023年7月25日 17:27 より抜粋

「内閣府は25日、2025年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が1.3兆円の赤字になるとの試算をまとめた。物価高で税収が上振れし、1月の試算から赤字幅は0.2兆円縮んだものの、政府がかかげる黒字化は達成できない形となる。黒字化は26年度になるとの見通しを据え置いた。

25日の政府の経済財政諮問(しもん)会議で示した。試算は例年1月と7月の年2回公表している。PBは社会保障や公共事業といった政策に必要な経費を借金に頼らず、税収でどのくらい賄っているかを表す。

PBは22年度の27.8兆円の赤字から改善を見込むが、歳出増加が予想される少子化対策などは未反映で、収支改善に課題は残る。

国内総生産(GDP)が20年代後半に実質で2%弱、名目で3%程度のペースで伸びる「成長実現ケース」で、25年度のPB赤字が1.3兆円となった。1月の試算から0.2兆円ほど圧縮したものの、赤字額のGDP比ではマイナス0.2%で横ばいにとどまった。

名目・実質ともゼロ%台の「ベースラインケース」では25年度のPB赤字は2.3兆円となった。より現実的な試算と言え、赤字額は成長実現ケースより1兆円膨らむ。

赤字額の見通しが縮小したのはインフレが主な要因だ。22年度の名目成長率は実績で2.0%と、1月時点の1.8%見通しから上振れした。22年度の税収は物価高を受けた消費税収などの伸びで71兆円超と過去最高を更新。試算の税収見通しを押し上げた。

政府は25年度の黒字化目標を堅持する。岸田文雄首相は25日の会議で、脱炭素や人への投資などで生産性を高めて歳出改革を続ければ「25年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化が視野に入る」と述べた。

ただ今現在税収で返済しなければならない普通国債残高は1000兆円を超えており、新型コロナウイルス禍のような借金頼みの補正予算が続けば、PBの赤字は広がりかねない。

今後は財源の確保と効果を見極めた財政支出でPBを早期に黒字化することが欠かせない。」

 

私自身記事について他にも調べてみたところ、成長実現ケースにおいて、全要素生産性の項目がバブル期並みの1.4%ほどで伸びる前提に立ち話を進めているとのことから、楽観的過ぎて前提が甘いのではないかと感じました。

また、9月に終わってしまうガソリンの値上げの緩和策や24年度からの少子化対策の予算増額については触れられていないこと、そして近年問題になっている脱炭素の10年で20兆円の支出関連予算についても織り込まれていないとのことでした。 二酸化炭素の排出に価格をつける「カーボンプライシング」の導入で将来的に財源を確保するとしてはいるようですが、制度の詳細は決まっていないことなど、曖昧なことも多いと感じました。