サムスン、半導体不況も設備投資6兆円 23年も過去最大
韓国サムスン電子の2023年の設備投資額が53兆7000億ウォン(約6兆円)規模になることが31日わかった。
これまで過去最大だった前年を1%上回る。競合各社が巨額赤字に耐えかねて投資を大幅に絞る中でも、サムスンは事業拡大に向けた投資を緩めていない。
設備投資額のうち半導体部門が88%、ディスプレー部門が6%を占める。1〜9月の全社の累計投資額は36兆7000億ウォンで、市況回復局面を見据え10〜12月期に17兆ウォンを新たに投じる。
ソウル市近郊の平沢工場の生産能力増強のほか、米テキサス州で建設中の半導体工場の立ち上げも急ぐ。
米クアルコムや米エヌビディアなど既存顧客に加え、米テスラや米グーグルからも生産を受託しており7〜9月期の過去最大受注に対応するために設備増強が必要となる。
同日発表した7〜9月期の半導体部門の業績は売上高が前年同期比29%減の16兆4400億ウォンだった。営業損益は前年同期は黒字であったのに反して、3兆7500億ウォンの赤字と3四半期連続で赤字だった。
逆風下の積極投資はサムスンのお家芸でもある。不況期に生産設備を整え、次の好況期に他社を競争から振り落とす戦略で、半導体世界首位に登りつめた。
他社が投資を減らす間は、製造装置メーカーとの価格や納期の交渉を有利に進めやすい利点もある。「過去最悪」とされるメモリー不況期下でもサムスンは自社の勝ちパターンを貫いている。
不況の中で設備投資を積極的に行う。リーマンショック前の日本では、資本のある日本企業では多くみられた状況といわれておりますが、リーマンショック後はその際の過剰投資が仇となり、不良債権化してしまっていると聞きます。
バブル崩壊以降大きな好転を見せていない日本経済では、サムスンのように自社設備への投資を行う原資の獲得に苦慮しており、生産力の強化が出来ないことで、競争力の低下、売上の低迷を招いています。
生産能力が向上しない=需要があるものの取り込み機会を逃す。ということですので、設備投資するだけの原資(営業利益)がない→生産能力が向上しない→納期がかかり、価格も高いままで競争力を失い、受注機会を失う。→営業利益の低下という負のスパイラルが完成してしまいます。
不況の中でこそ、積極投資を必ずするべきとは思いませんが、サムスンのように不況の中でこそ勝ち筋を見極め、一点集中の投資を行うことも大変重要だと感じました。