イスラエル新興企業、資金調達に影 過去は「回復早く」
イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が2カ月目に入った。ハイテクに強いイスラエルのスタートアップ企業にとっては労働力確保や資金調達の逆風となる。ただ過去の紛争からは速やかに立ち直ってきたとの自負が国内では強い。
イスラエルの新興企業の技術を取り込む日本企業は今年も相次いだ。三菱重工業や旭化成は相次いで出資し、富士通はIT(情報技術)サービスの企業と提携した。
10月にハマスと戦争状態に入ったことで、イスラエル経済の不透明さは増す。
10月7日にハマスがイスラエルを急襲し、政府によると約1200人が死亡した。イスラエル軍はハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザに空爆を重ね、激しい地上戦が続く。
軍事衝突はスタートアップにまず人手不足をもたらした。人口1000万人弱のイスラエルで、軍は約36万人の予備役を動員した。ハイテク産業では労働力の15%が動員されたとみられる。
資金繰りの不安も強い。ただでさえ昨年から米欧の利上げで世界的にスタートアップの資金調達に逆風が吹いた。交戦国への新規投資が鈍っても無理はなく、草創期の企業には特に死活問題になる。政府は資金繰り支援に動くが、ニーズを満たしきれない可能性が高い。
一方で、イスラエルは周辺アラブ諸国やハマスなどと紛争を繰り返しており、そのたびに迅速に回復してきたと強調する。①主力はソフトウエアで製造や供給網の制約がない②主な市場が海外で需要は健在③通貨下落でドル資金の価値が自国で増す――との分析だ。
今回の危機で、国論を二分したネタニヤフ政権の「司法制度改革」が棚上げになったのも、もっけの幸いかもしれない。裁判所の力を弱めようとする政権に起業家らが抗議し、資金逃避や投資手控えの懸念があった。
起業した場合、3年の壁というものがあります。コレは一般的に、体力的、市場的、人員的、そして資金繰り的に、安定するまで平均で3年はかかるということから、スタートアップ企業の多くは3年間をどのように過ごせるかが重要と言われています。
この3年をすぎると、一気に資金調達などもしやすくはなるのですが、逆にいうとその3年間で今回のような事態に陥り、事業継続の目処が立ちにくくなると、倒産に追い込まれてしまいます。
スタートアップ企業は、ある種バクチのようなものではありますが、近年の革新的な発想の事業は、多くはこのスタートアップ起業発祥でもあります。
このような事態に屈することなく、技術革新に貢献してほしいと思わされる記事でした。