あえてバズらせない原宿の銭湯 目先より長期の顧客作り

2024年の話題のスポットと言えば、東急不動産が開発した商業施設「東急プラザ原宿 ハラカド」だ。
目玉の一つが、90年続く東京・高円寺の銭湯「小杉湯」2号店。話題作りの施設にとどまるかと思いきや、洗い場が男女それぞれ9カ所の小さな銭湯ながら、大きな視点で顧客作りを目指していた。
ハラカドの開業日は4月17日。
原宿の新施設だけに来店客がどっと押し寄せ、激しいにぎわいを見せた。多くの店は、こうした新店効果を生かし売り上げをつかみ、認知度を高めるのが通常のパターンだ。しかし小杉湯2号店は違った。
営業時間は午前7時から午後11時までだが、5月12日までは午後の時間帯である正午〜午後6時の営業を休止。しかも利用者を地元・原宿の住民や働く人だけに限定したのだ。
限定オープンにした理由は大きく二つ。
一つは長期的に銭湯を運営していくには地元の「コア客」の信用獲得が欠かせないこと。
もう一つは、オープン後の客足殺到でスタッフが疲弊してしまうことを懸念したからだ。
「5〜10年で地域の文化に育て上げたい。なので一時的にSNS(交流サイト)でバズるような仕掛けをできるだけ排除した」。

例えば原宿の銭湯というだけで利用者が写真を撮り、発信するケースが多い。

しかし意図的にフォトスポットになるようなオブジェを置かないようにした。

この結果、インバウンド(訪日外国人)も少なく、混雑を避けた。
あえてサウナを作らず、お風呂を純粋に楽しむ「銭湯」スタイルにこだわり、優遇措置はなくても550円に設定した。

人口減、インフレなど消費環境は厳しく、世の中の企業はますます目先の利益に走りがちだ。短期的な利益を求めがちなマーケティングに背を向ける原宿・銭湯はどこか熱い。

我が社にある「新倉工業Way」と同じだ。と一番に思いました。
目先の利益に目を向けてはならない、ロングセラーとなる、製品サービスをうみだす。当社の、ファンをつくりだす。ここで紹介されている職種は違いますが、どの職種にも言えることなのだと、改め考えるきっかけとなりました。

また、経営スタイルはあえてアナログにし、スタッフが無理なく働ける環境を作っているという点に置いても、従業員を大切に思っているという点に共感できました。
デジタルとアナログの融合は難しいと思いますが、できたときには新しい価値が生まれてくると思いました。