1日8時間働けません 「虚弱な私」告白本、広がるMe too

出典:日経新聞

 仕事は1日4時間が限度。20代でも初老のような身体…。

身体の不調を抱えるエッセー本「虚弱に生きる」が話題だ。

「体力お化け」が評価される社会で、「どんなに努力しても体力がつかない」という著者の葛藤を書いた作品に対し、虚弱体質に悩む読者たちがそれぞれに体験を投稿し、共感の連鎖が生まれている。

 著者の絶対に終電を逃さない女さんは、21歳ごろから原因不明の「虚弱」に悩んできた。

それ以前は健康そのものだったので、「虚弱」という自認は無かったという。

毎日運動や食事管理を行うも、睡眠時間は10時間必要、労働は1日4時間✕5日が限界。

原因不明の頭痛や突発的な体調不良、ちょっとした階段の上り下りで膝が炎症を起こした。

そういった、自身の「虚弱」エッセーを出版すると、SNSで虚弱体質への共感が盛り上がった。

「私のために書かれた本。」「健康のせいで手に入らなかったものは数えきれない。毎年の抱負は健康。」

など、Xやnoteを中心に続々と広がった。

その一方で、この本は虚弱ではない読者の心もつかんだ。

「一度でいいから、体が弱くなってみたいと思って生きてきた。」

「体力オバケすぎて、女性として可愛げが無い」と彼氏に振られた体験などが綴られた。

「虚弱」な人は、社会でどう生きていけばよいのか。

そのヒントを本から学ぼうとする動きも出てきている。

東京・小川町の三省堂書店で開かれた「ふつうに働けないからさ、好きなことして生きています。」

刊行記念のイベントには20~40代の働き盛りの男女を中心に30人ほどが集まった。

著者の平城さやかさんは、小学校入学前に6回入院するなど、生まれつき虚弱体質。

派遣事務として働いていたが体調悪化に伴い37歳で仕事をやめ、フリーランスへ転向。

「元気が売っているなら、買いたいくらいでした」と語る彼女が「今が一番元気」と断言する理由は心の健康を第一に生きるようになったから、と語る。

とはいえ、本音で生きるのは勇気がいる。

そのままでは、心の健康を守るために心の健康を害することにならないのだろうか。

 

精神医学の見地から体力を考える本も、働き世代の心をつかんでいるようだ。

精神科医の和田秀樹さん著、「体力がない人の仕事の戦略」は、30代~40代の購入者が多いという。

本の中には「苦手な仕事は極力断る」「断酒にこだわらない」など一見そこまで楽をしていいのか戸惑うほどのアドバイスも並ぶ。

和田さんはこの本を書いたことについて「体力は主観的な要素も強い。ものの見方を変えられるヒントを伝えられれば」と話す。

「体力が無い」、「虚弱」であることに対し、増やすことを目指すより、その状況下でどう工夫し働くかを考えるべきだとも説く。

私の知人も30歳を過ぎたころから、年々フルタイムや毎日の労働が辛い状態になってしまった。

週3日働きに出ているが、他の日は1日20時間とかコアラ並みにほとんど寝て過ごす。

でも、診察受けても病名はつかない。

体力が無い=怠けと思われて言えない状況は、1日8時間労働という70年も変わらない常識が議論される昨今、「怠け」という負の考えではなく、理解をし、改善のチャンスと捉え、少しでも生きやすくなるヒントへ変換すべきだと感じる。