H3ロケット失敗に「新たな魔物」 競争脱落の陰に日本の完璧主義 カッサンドラの絶景
出典:日経新聞
皆さん、記事のサブタイトルにあった「カッサンドラの絶景」という言葉があります。
ギリシャ神話のカッサンドラは、未来の危険を予言できたのに誰も信じてくれない人物です。
ここでいう「絶景」とは、遠くから見ると美しい景色のように、リスクは見えているのに行動できない状況を指します。
ロケット開発でも、H3やH2Aを見れば、私たちのチームも同じような「絶景」の中にいると感じます。
ロケットには「魔物」が潜みます。
物理現象の予期せぬ不具合です。
でも最近、私が気になっている新たな魔物は、完璧を求めすぎて一歩を踏み出せなくなることです。
H3の失敗後、JAXAは「原因を完全に特定するまで打ち上げない」と宣言しました。
再発防止は当然ですが、H2Aを振り返ると、成功率98%でも打ち上げ回数が少なく、コストも高めだったため、
商業需要は海外に流れました。完璧だけでは競争に勝てない現実があります。
私自身の経験からも、FMEAは机上の想像力、実機データは現場の声だと感じます。
FMEAは地図、実機データは実際に歩くこと。地図だけでは思わぬ穴に落ちますが、現場のデータがあると、少しずつ設計の地図を更新できます。
まだ異動して間もない私ですが、補完し合うチームワークの大切さを日々学んでいます。
米スペースXは、問題が起きても前に進む文化を持っています。
解析だけに時間を費やさず、飛行に支障のない部分は取り外して打ち上げを再開します。
学びながら前に進む、その姿勢は私たちのチームにも大切だと感じます。
致命傷は避けつつ、許容できるリスクを学習に変える。
品質とスピードも、チームワークがあるから両立できます。
チームで互いに学び合いながら進むことが、今のものづくりに必要だと感じました。
