10年だまされた原発の「番人」 安全審査見直し、反省だけで十分か

 

2026/6/17(2026/5/24日本経済新聞電子版掲載)

 

中部電力では原発の安全審査に用いる地震データについて、不適切な処理が10年以上続いていたことが発覚しました。

規制当局も長期間その問題を見抜くことができず、外部からの情報提供によって明らかになったとのことです。

私が特に印象を受けたのは、不適切なデータ処理が行われていたことよりも、それを長期間見抜けなかったという点です。

現在、原子力規制委員会では、計算手法の明確化や、評価に使用したデータや前提条件を追跡できるようにするトレーサビリティの強化が検討されています。

今回の記事を読んで感じたのは、どれだけ優れた設計や解析を行っていても、その根拠や検討過程を後から確認できなければ、結果そのものの信頼性も損なわれてしまうということです。

業務でも、設計計算や試験結果、検査記録など、日々の業務で扱うデータについても、最終結果だけでなく、「どのような条件で」「どのような根拠で」その結果に至ったのかを残しておくことが重要だと思います。

また、トレーサビリティは不正防止のためだけではなく、将来の自分や後任者を助けるためにも重要です。

数年後に案件を見返したとき、判断根拠が残っていればスムーズに内容を理解できますし、品質や安全性の維持にもつながります。

今回の記事を通じて、品質や安全を守るためには、個人の善意や経験だけに頼るのではなく、トレーサビリティを確保し、根拠を確認できる仕組みを整えることが大切だと改めて感じました。

私自身も、計算条件や検討経緯を丁寧に残すことを意識して業務に取り組みたいと思います。