シリア難民の帰国始まる
アサド政権が崩壊し、内戦や弾圧から逃れて外国で暮らしていたシリア人の帰国が始まりました。
ドイツ、イギリス、フランスなどの欧州各国はアサド政権の崩壊を受け、シリア人の難民認定申請を一時停止する方針を明らかにしております。
しかし一方では、この変化がさらなる混乱を招き、むしろ難民危機が再来するのではないかと懸念する声も上がっています。
シリア人で現在はイスタンブールで暮らすムハンマドさんは内戦下のシリアで兵役に就かされ3年前に逃れてきたといいます。
取材に対し「故郷には家族が待っている」と笑顔で答えたそうです。
トルコ南東部ハタイの国境ゲートには陸路でシリアに渡ろうとする難民らが大きな荷物を抱え、列をなしています。
トルコ政府によると、陸路でシリアへ渡る人の数は1日当たり400人程度だったのが、今では800~1200人に増えたといいます。
シリアで10日に発足した暫定政権は国際テロ組織アルカイダに源流を持つシャーム解放機構を基盤としており、多様な宗派、民族の利害が複雑に絡み合い、対立が再燃する可能性があり、シリアを安定に導けるかどうかは不透明です。
シリア国外においても、内戦下でアサド政権側に付いた人々が報復を恐れてシリアから周辺国に逃れてくる可能性があり、周辺国の警戒を強めています。
シリアの人々にとって、戦争や弾圧というものは日本とは比べ物にならないほど身近にあるという事実に衝撃を受けました。
記事の内容に登場したムハンマドさんは現在20歳。
すでに10年の兵役を経験しているとありましたが、子供を戦争に加担させるという判断は、あってよいものなのでしょうか。
調べてみたところ、シリアの少年兵は小柄で機敏である、すぐに補充ができるということを理由に、消耗品のようなひどい扱いを受けているそうです。
敵対勢力の拠点への侵入、地雷除去装置として地雷原を歩かされる、戦闘の最前列での弾除けの壁の役割、武器や食料などの重い荷物運びなど、これらを大人から命じられて強要されているといいます。
そんな環境にも関わらず、彼には故郷に帰りたいと願う気持ちがありました。
家族と過ごす時間が、自分の置かれた境遇の中で唯一安心できるからこそ、そう思うのだと思います。
いま、世界中で不穏な動きが広がりつつありますが、すべて他人事だとは思わず、今後も各国の動きを注視していきたいと思います。