生産設備やソフトウエアなどの「高齢化」
日本経済はバブル崩壊後、借金を手控える動きが企業に広がり、生産設備やソフトウエアなどの「高齢化」が進んでいます。
2023年度の経済財政白書は主要7カ国(G7)で2番目に老朽化していると分析しました。
生産性を高め、所得を増やすには「人への投資」に加え、設備の更新も重要になります。設備をどれくらい使っているかの「平均年齢」の調査で、1970年末の日本の平均は8.1年、バブル経済が崩壊した1991年時点は7.9年で、G7で最も設備が新しく、2019年時点では11.8年で、イタリアの13.3年に次ぎ、アメリカは9.7年と最も短かったといいます。
これは1人当たりの設備の量も生産性を左右します。
労働者あたりの設備を示す「資本装備率」は2000年代後半に減少に転じました。人口が減る以上に設備の資産価値がなくなってきたためです。古い技術に対応した設備やソフトを使い、1人あたりの量も少なければ効率は当然落ち込みます。
資本ストックをGDPで割った「資本係数」をみると日本は19年で3.6。
数値が低いほど、資本の生産性が高いことを示し、G7で最も生産性は低いこととなります。
新規設備の導入や既存設備の更新などを通じて資本の生産性を向上させていくことは喫緊の課題で、円安や米中対立を受けたサプライチェーンの再編を受け、製造業の国内回帰の機運は高まっているとのことです。
半導体などの重要物資の国内生産を拡大する動きもある中、最新設備をうまく使い、生産性を高められるかが大事になっているという記事でした。
これはまさに「2025年の崖」だと思いました。
「2025年の崖」は2018年に経済産業省から出されたレポートで指摘され、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや我が国の経済の停滞などを指す言葉です。
具体的なイメージとして、2025年~30年の間に最大12兆円の経済損失が生じると推定しています。
「2025年の崖」によって影響を受ける企業は、大企業ばかりではなく中小企業や個人事業主も含まれるとされています。
まずは自分の身の回りの小さな改善から、データ共有や属人化を防ぐなど日々活動していきたいと思いました。