日本新薬、1万人に1人を治療 希少疾患薬で続く成長

日本新薬、1万人に1人を治療 希少疾患薬で続く成長

 

京都市に本社を置く中堅製薬の日本新薬が患者数の少ない難病や希少疾患の治療薬を研究開発し、成長を続けている。生活習慣病など需要が大きい薬を手掛ける製薬大手とは正反対に「1万人に1人」のための治療薬に尽力してきた。一方で、先端技術の「核酸医薬品」では大手企業をリードする。同社の戦略は中堅製薬会社が生き残るヒントになる。

同社が薬を研究開発する難病や希少疾患は治す手段に乏しい。同社が2011年に発売した「ビダーザ」は血液がんの一種である「骨髄異形成症候群」の治療薬だ。開発当時は日本の患者数が約9000人で、国内に治療法は存在しないとされていた。そんな状況で米製薬会社のセルジーンから「薬のタネ」である新薬候補をライセンス導入し、約5年かけて日本で臨床試験(治験)などを進め、新薬としての承認を取得し、その患者とその家族に薬を届けられた。

希少疾患の治療薬は簡単に実用化できたものではなく、経営トップが明確な方向性を示し、経営資源を投じる覚悟と決断が製薬会社としての成長につながってきた。一方で、開発リスクと収益性の最適バランスを模索することは今後さらに重要になる。希少疾患の治療に対する社会的な理解を得る努力も欠かせない。

同社は製薬大手との競合が少ない分野で業績を拡大し2023年の連結売上高は1441億円で、3年前と比べ24%成長している。

 

私の祖父も治療法のない希少疾患で亡くなっており、数年にわたってただただ弱っていく祖父の姿や家族の苦労も見ていました。このような難病疾患は発症例が少ない為必然的にその治療薬の需要も多くはなく、ただ『運が悪かった』とその現実を受け入れるしかありませんでした。とはいえ、利益を生み出さなければ企業としての経営は成り立たず、需要の多い物の開発や発展に取り組むことのほうが明らかに安牌です。そんな中このような企業の挑戦は患者や家族からするととてもありがたく、発展をともに喜びたくなるものです。マイノリティな需要だからこそ、その供給は価値を高くすることができたのではないでしょうか。

株式取引など相場の格言で「他人と同じことをしていても勝ち目は薄い。あえて反対の道を行くべきだ」と説く趣旨をこの会社は体現していると思われました。