「水は宝」 世界の水不足について
日本経済新聞 2023/6/29 2:00より抜粋
「スウェーデンのアパレル大手H&Mはイギリスの企業と、少量の水による綿花栽培を始めました。インド中部にある小さな温室で2022年、綿花の水耕栽培が始まりました。衣料品の原料である綿花は栽培時に大量の水を必要とします。ジーンズ1本分にあたる1キログラムの綿花の生産には1万リットル以上。飲み水換算なら1人が消費する10年分相当との試算もあります。H&Mは早期の実用化に期待をかけています。最良な農業を実践する上で重要なのはデータ分析。温度など条件を徹底的に管理し、畑での栽培に比べて水の使用量を最大80%削減できたといいます。世界の水需要は供給を40%上回ると予測されており、3月下旬には国連が水を取り巻く課題を議論する「国連水会議」を46年ぶりに開催しました。企業にとって水はもはや当たり前の存在ではないのです。19年以降、台湾では毎年のようにあった台風が上陸しなくなり、夏の水不足が常態化しています。生産工程で大量の水を消費する半導体産業には死活問題となっています。昨年9月、台南の主力拠点に工場廃水のリサイクル工場を新設した。23年中に50メートルプール約14杯分に相当する3万5000トンの再生水(1日あたり)を作り出すとのことです。ドイツではテスラが打ち出した増産計画がやり玉に挙がっています。ベルリン郊外の工場で年生産台数を2倍の100万台へ高める計画を掲げたものの、水の使用量が増える懸念に地元が反発。テスラは再利用などによって水の使用量を増やさないと主張し、自ら水源確保に乗り出す可能性にも含みを残しています。22年の水関連のビジネス機会規模は4360億ドル(62兆円超)。相次ぐ摩擦も糧とすべく、世界大手がしたたかに動き始めた」という記事でした。
日本では簡単に手に入る水ですが、世界では深刻です。水不足は先進国であっても発展途上国であっても生じてしまう、エネルギーや食糧と同じように他国に依存しなければならない物の一つです。水不足には4つのキーワードがあるそうです。それは、水ストレス、AWR、バーチャルウォーター、ウォーターフットプリントです。バーチャルウォーター、ウォーターフットプリントとは概念なのですが、例えば日本は食料の60%を輸入し、衣料は90%以上輸入品が浸透しています。自国で賄えば大いに水不足の可能性があります。各国輸出入のバランスがありつつも、他国のおかげで重要な水を手にいれられている今、感謝報恩、世界に目を向ける必要があると感じました。