タイタニック号潜水艇
タイタニック号潜水艇「悲劇繰り返した」 安全管理疑問
イギリスの豪華客船タイタニック号の残骸見学ツアーで行方不明となっていたアメリカの潜水艇「タイタン」の乗組員5人全員の死亡が22日、明らかになった。一夜明けた23日も事故原因の究明が進む中、潜水艇を巡る安全管理を疑問視したり、他の重大事故との報道の違いを指摘したりする声が出ている。
米メディアによると運営会社のオーシャン・ゲートは2018年、潜水艇の安全性について従業員や複数の専門家から警告を受けていた。乗組員らは事前に、ツアーを通して不慮の事故などで死亡する可能性について合意する免責同意書に署名したとみられているが、運営会社側に重大な過失があったと判断できる場合、遺族らが訴えを起こす可能性もある。
この事故では運営会社の対応と共に、メディアの報道ぶりについても疑問視する声があがっている。潜水艇の行方と乗組員の安否は大きな注目を集め、連日多くのメディアが熱心に報道。これに対し、同時期にギリシャ沖の海でリビアからイタリアへと向かっていたとされる漁船が沈没し、乗船していた数百人もの移民が死亡したとみられる海難事故の扱いは小さかった。この報道の差を、移民の命が軽んじられている傾向とイギリス・ガーディアン紙は分析している。
本来、乗客を乗せる船は国際法で安全検査が義務づけられていますが、タイタン号は研究用の船だからという抜け穴を使って検査を逃れていたそうです。法律で決められた安全への対策を軽視し、過去の大きな事故や犠牲を教訓に定められたはずの検査を甘くみた代償がこの事故につながったと感じました。
危険を伴う可能性があるがなんとかなるだろう、安全じゃないけどやってみよう、という挑戦は、他人に迷惑をかけず自分で責任を取れる範囲の中でだけ許されるものだと私は考えます。
今回の事故では、アメリカとカナダの軍が動きました。メディアの熱心な報道の陰で、かき消されてしまった小さくとも大切な声や主張があったかもしれません。犠牲になった乗組員とその遺族以外にも多くの人を巻き込んだこの事故の責任を、海の底に消えた最高責任者の代わりに誰がどのようにとっていくのか。今後の対応が気になると同時に、海に関わる仕事をする者として、安全は全てに優先するという意識を忘れずに日々の業務に取り組もうと気持ちを新たにさせられた記事でした。